このページは、管理人がDTMを利用したブルックナーの楽曲研究の過程を書き綴ったものです。
同一の条件で作成したmidi(MP3)によって版や稿による相違点を明確にすることを目指します。
なお、当該データの一部は、
musictrack
で公開しています。
へ短調、1番、0番、
2番、3番、4番、
5番、6番、7番、8番、9番
稿 | 1863年 原典版 A-KR-C56-7 |
1楽章 | 625小節 musictrackにて公開中! 14.5MB |
2楽章 | 128小節 musictrackにて公開中! 15.7MB |
3楽章 | S:90小節 T:39小節 musictrackにて公開中! 6.4MB |
4楽章 | 372小節 musictrackにて公開中! 9.0MB |
※3楽章の、Sは「スケルツォ」、Tは「トリオ」です。
交響曲ヘ短調は、ブルックナーの最初の交響曲で、1863年に完成しました。
ブルックナーはこの曲に番号をつけなかったので、現在ではヘ短調交響曲または習作交響曲などと呼ばれていますが、演奏される機会は少ないようです。
また、交響曲全集の録音でも割愛されることが多いようです。
Brucknerの標題へもどる
へ短調、1番、0番、
2番、3番、4番、
5番、6番、7番、8番、9番
稿 | 1865年 リンツ稿 Mus.Hs.6006 |
1866年 リンツ稿 Mus.Hs.3192 |
1877年 リンツ稿 Mus.Hs.3190 |
1890-91年 ウィーン稿 Mus.Hs.19.473 |
1楽章 | - | 356小節 musictrackにて公開中! 15.9MB | 351小節 | 345小節 |
2楽章 | - | 168小節 musictrackにて公開中! 15.1MB | 168小節 | 171小節 |
3楽章 | S:59小節 T:39小節 musictrackにて公開中! 10.8MB |
S:135小節 T:41小節 C:25小節 musictrackにて公開中! 6.3MB |
S:135小節 T:39小節 C:24小節 |
S:140小節 T:39小節 B:13小節 C:27小節 |
4楽章 | - | 406小節 musictrackにて公開中! 16.4MB | 396小節 | 393小節 |
ブルックナーが2番目に作曲した交響曲が、このハ短調交響曲ですが、
ブルックナー自身が最初の交響曲ヘ短調に番号をつけなかったため、この曲が第1番となったようです。
交響曲第1番は1866年に完成しましたが、その後1877年、1884年に細部の改定が行われたようです。この3つのバージョンが「リンツ稿」と呼ばれています。
さらに、作曲から24年も経った1890年から約1年を費やし全面的に改訂されます。このバージョンが「ウィーン稿」と呼ばれています。
※3楽章の、Sは「スケルツォ」、Tは「トリオ」、B は「ブリッジ」、C は「コーダ」です。
Brucknerの標題へもどる
へ短調、1番、0番、
2番、3番、4番、
5番、6番、7番、8番、9番
稿 | 1869年 原典版 Mus.Hs.3189 |
1楽章 | 353小節 musictrackにて公開中! 17.0MB |
2楽章 | 160小節 musictrackにて公開中! 15.5MB |
3楽章 | S:168小節 T:56小節 C:25小節 musictrackにて公開中! 8.9MB |
4楽章 | 372小節 musictrackにて公開中! 14.3MB |
※3楽章の、Sは「スケルツォ」、Tは「トリオ」、Cは「コーダ」です。
交響曲0番ニ短調は、ブルックナーの3番目の交響曲で、1869年に完成しました。
ブルックナーは、この交響曲に番号を付けなかったとされています。
通称の「第0番」は作曲者が晩年にこの曲の総譜に記した"0"の文字やその他の書き込みに由来し、ドイツ語では「ヌルテ(NULLTE)」と呼びます。英語でも「No.0」とすることが一般的とのことです。
Brucknerの標題へもどる
へ短調、1番、0番、
2番、3番、4番、
5番、6番、7番、8番、9番
稿 | 1872年 キャラガン校訂版 MusHs.19474 |
1877年 MusHs.6034 |
1892年 MusHs.6035 |
1871~72年、1877年混合 ハース版 |
|
Cut無 | Cut有 | ||||
1楽章 | 583小節 musictrackにて公開中! 23.7MB |
538小節 | 537小節 | 569小節 | 537小節 |
2楽章 | S:124小節 T:125小節 C:30小節 musictrackにて公開中! 12.6MB |
187小節 | 187小節 | 209小節 | 187小節 |
3楽章 | 211小節 musictrackにて公開中! 18.7MB |
S:125小節 T:123小節 C:33小節 |
S:125小節 T:121小節 C:33小節 |
S:124小節 T:121小節 C:31小節 |
|
4楽章 | 806小節 musictrackにて公開中! 21.6MB |
613小節 | 613小節 | 698小節 | 613小節 |
第2番ハ短調はブルックナーが4番目に作曲した交響曲です。
この曲は1872年に完成し、その後1877年、1892年に改定されました。
この曲で所謂「ブルックナー開始」が採用され、巨大な交響曲群の始まりとなりました。
※1872年稿は2楽章が「スケルツォ」、3楽章が「アダージョ」です。
※3楽章の、Sは「スケルツォ」、Tは「トリオ」、Cは「コーダ」です。
※ハース版の1、2、4楽章の1872年稿を混ぜ合わせた部分はカットが明記してあり、カットを施した場合は1877年稿とほぼ同様となります。
Brucknerの標題へもどる
へ短調、1番、0番、
2番、3番、4番、
5番、6番、7番、8番、9番
稿 | 1873年 ノーヴァク版 III/1 Mus.Hs.6033 |
1876年 「アダージョ」 ノーヴァク版 zuIII/1 |
1877年 ノーヴァク版 III/2 Mus.Hs.19475 |
1889年 ノーヴァク版 III/3 |
1楽章 | 746小節 musictrackにて公開中! 30.0MB | - | 652小節 | 651小節 |
2楽章 | 278小節 musictrackにて公開中! 19.2MB | 289小節 | 251小節 | 222小節 |
3楽章 | S:152小節 T:116小節 musictrackにて公開中! 8.6MB | - | S:160小節 T:116小節 C:41小節 | S:160小節 T:116小節 |
4楽章 | 764小節 musictrackにて公開中! 21.6MB | - | 638小節 | 495小節 |
ブルックナーが5番目に作曲した交響曲、第3番ニ短調です。
この曲は1873年に完成し、前作の2番と共にワーグナーを訪ね、献呈を申し入れました。
ワーグナーは本作の献呈を受け入れ、絶賛したとのことです。
※3楽章の、Sは「スケルツォ」、Tは「トリオ」、Cは「コーダ」です。
Brucknerの標題へもどる
へ短調、1番、0番、
2番、3番、4番、
5番、6番、7番、8番、9番
稿 | 1874年 Mus.Hs.6082 |
1878年 民衆の祭フィナーレ Mus.Hs.3177 vol.3 |
1878-80年 Mus.Hs.19.476 |
1888年 Leipzig: Ernst Eulenburg |
1楽章 | 630小節 musictrackにて公開中! 25.4MB | - | 573小節 | 573小節 |
2楽章 | 246小節 musictrackにて公開中! 22.4MB | - | 247小節 | 247小節 |
3楽章 | S:336小節 T:132小節 S:336小節 C:26小節 musictrackにて公開中! 16.1MB | - | S:259小節 T:54小節 S:259小節 | S:255小節 T:54小節 S:191小節 |
4楽章 | 616小節 musictrackにて公開中! 24.8MB | 477小節 | 541小節 | 507小節 |
交響曲4番は、1874年に完成します。その後1878年に3楽章以外を大幅に改定し、3楽章は新たに別の曲(狩のスケルツォ)を作曲します。
1880年には終楽章をさらに改訂したため、1878年稿は終楽章だけが残され、「民衆の祭り」フィナーレと呼ばれていますが、ほとんど演奏される機会はありません。
そして、1878年の1~3楽章と1880年の終楽章を組み合わせて1878/80年稿が現在最もよく演奏されている版として定着しています。
同じ1878/80年稿でもハース版とノーヴァク版には多少の違いがあります。具体的には、3楽章の中間部において、ハース版ではOboeとClarinetがメロディーを奏しますが、ノーヴァク版ではFluteとClarinetが奏します。
また、終楽章のエンディングで、ハース版は、第1楽章の冒頭主題のリズムをTromboneとTubaが奏しますが、ノーヴァク版では、第3、第4ホルンが冒頭主題を明確な形で奏し、Trumpet、Trombone、Tubaがそのリズムを補強します。
さらに1888年に弟子のレーヴェが改定した稿は多くのカットやオーケストレーションの変更が施されています。
ここでは、まず1874年稿を自筆譜Mus.Hs.6082のコピー及びノーヴァク版を用いてmidi化し、MP3ファイルをUPします。(2019.02.16)
追記 ハース版は1936年版と1944版の2つの版があることが判りました。
1944年版では前記のとおりスケルツォの中間部の主題はOboeとClarinetがメロディーを奏しますが、1936年版ではノーヴァク版と同様FluteとClarinetが奏します。
(2019.05.24)(2019.06.5一部修正)
※3楽章の、Sは「スケルツォ」、Tは「トリオ」、Cは「コーダ」です。
Brucknerの標題へもどる
へ短調、1番、0番、
2番、3番、4番、
5番、6番、7番、8番、9番
稿 | 1878年 原典版 Mus.Hs.19.477 |
1896年 シャルク改訂版 |
1楽章 | 511小節 musictrackにて公開中! | 512小節 |
2楽章 | 211小節 musictrackにて公開中! | 211小節 |
3楽章 | S:382小節 T:148小節 musictrackにて公開中! | S:384小節 T:148小節 |
4楽章 | 635小節 | 512小節 musictrackにて公開中! |
交響曲第5番は1876年に一旦完成しますが、ブルックナーは1878年に自筆の原稿「Mus.Hs.19.477」に直接改定を加えました。このため当初の形での楽譜は残っていません。
また、ハース版とノーヴァク版には誤植の修正程度の差異しかありません。これは、両者とも1878年の自筆原稿を元に校訂を行ったからです。しかし、この曲の最初に出版された楽譜は、弟子のシャルクによる大幅な改訂(オーケストレーションの変更及びカット)が施されたものでした。この楽譜を「シャルク改訂版」といいます。
そこで、交響曲第5番のノーヴァク版とシャルク改訂版を同じ環境でDTM作品(MP3)を作り、聴き比べできるようにします。また、楽章ごとの小節数を示します。
@参考文献:金子建志著「こだわり派のための名曲徹底分析 ブルックナーの交響曲」
※3楽章の、Sは「スケルツォ」、Tは「トリオ」です。
第1楽章がシャルク改訂版が1小節多いのは、曲の最後に全楽器が全休符の1小節が追加されているためで、実質同じです。
第3楽章の2小節の差については、こちらをご覧下さい。
第4楽章は大幅にカットされていることが良く分かります。
第4楽章の原典版とシャルク改訂版のの差については、こちらをご覧下さい。
Brucknerの標題へもどる
へ短調、1番、0番、
2番、3番、4番、
5番、6番、7番、8番、9番
稿 | 1881年 原典版 Mus.Hs.19.478 |
1899年 ヒュナイス改訂版 |
1楽章 | 369小節 musictrackにて公開中! | 369小節 |
2楽章 | 177小節 musictrackにて公開中! | 177小節 |
3楽章 | S:110小節 T:52小節 | S:110小節 T:52小節 |
4楽章 | 415小節 | 415小節 |
交響曲第6番は1879年に作曲に取り掛かっていますが、その後一度目の大規模な改訂の波が訪れ、完成したのは1881年になってからとなりました。
6番は、巨大な構築物である5番とブルックナーとしては親しみやすい7番に挟まれ、やや影が薄い存在ですが、完成度は非常に高くブルックナー本人による改訂は行われませんでした。
※3楽章の、Sは「スケルツォ」、Tは「トリオ」です。
Brucknerの標題へもどる
へ短調、1番、0番、
2番、3番、4番、
5番、6番、7番、8番、9番
稿 | 1883年 原典版 Mus.Hs.19.479 |
1885年 初版(改訂版) |
1楽章 | 443小節 | 443小節 |
2楽章 | 219小節 | 219小節 |
3楽章 | S:272小節 T:136小節 | S:272小節 T:136小節 |
4楽章 | 339小節 | 339小節 |
交響曲第7
ブルックナーは、1884年の初演の後1885年に改訂しました。資料は自筆草稿 (Mus.Hs.19.479)しか残されていません。
自筆稿そのものに削除をしたり書き込みを加えたりして改訂したので、1883年の形態を再現することは不可能です。
自筆稿には他人の書き込みがたくさんあります。特に両端楽章には糊付けされて修正された箇所が多く見られます。
出版譜は、解釈の相違によって異なっています。1885年の初版(改訂版)は自筆稿にない変更点が含まれています。
ノーヴァク版は残された資料に基づいていますが、他人による変更の全てを受け入れたわけではありません。
ハース版は、1883年の形態を復元しました。しかし完全な再現は不可能であるので彼の版は2つの形態の混合という結果になっています。
最も解りやすい違いは、他の版と異なりハース版はアダージョのクライマックスでシンバル、トライアングル及びティンパニを削除しています。
@参考文献:ディヴィッド・グリーゲル著、川崎高伸訳「ブルックナー交響曲の諸形態」
※3楽章の、Sは「スケルツォ」、Tは「トリオ」です。
Brucknerの標題へもどる
へ短調、1番、0番、
2番、3番、4番、
5番、6番、7番、8番、9番
Copyright horn_oyaji. All rights reserved.
本サイトを無断で転載・複製することを禁じます。ホルンオヤジ